【Melts Boundaries】vol.1 田口 愛(MAAHA CHOCOLATE 代表)

【Melts Boundaries】vol.1 田口 愛(MAAHA CHOCOLATE 代表)

こんにちは!MAAHA CHOCOLATE代表の田口愛です。
いつも私たちの商品をお楽しみいただき、また活動を応援いただき、本当にありがとうございます。

今回、MAAHA CHOCOLATEはリブランディングを実施しました。
大きな変化となりますが、MAAHA CHOCOLATEがより大きくなるため、また、ガーナでの活動をより推進していくために必要なことと、決断しました。

そして、今後は、MAAHA CHOCOLATEの裏側のストーリーを、"Melts Boundaries"という連載記事を通して、皆さまにお伝えしていこうと考えています。"境界線を溶かすチョコレート"を掲げるブランドとして、MAAHA CHOCOLATEと皆さまとの境界線も溶かしていきたいという想いでの取り組みです。

初回は私、田口愛が、MAAHA CHOCLATE立ち上げのストーリーや想いをお伝えします。

 

 

ガーナとの出会いはチョコレートが食べられなくなるほどショックだった

幼いころ、いつも曽祖父の家に行くたびにチョコレートをもらっていました。そのチョコレートは大切に保管して、大切なときに食べるようにしていました。そのため、人生の重要な瞬間にはいつもチョコレートが隣にあり、特別な思い入れをもつようになりました

そんな大好きなチョコレートですが、幼い私にはどこで作られているか分かりませんでした。岡山で生まれ育った私にとって、食べ物を作った人がだれかわかる状態は当たり前でした。でも、チョコレートはどこで誰が作っているかわかりませんでした。

調べると、チョコレートはカカオというものから作られており、そのカカオはガーナで作られていることを知りました。そして、同時に、ガーナでのカカオ作りの裏側には貧困などの問題があることも知りました。

当時中学生の私にとって、自分の大好きなチョコレートのために苦しめられている人がいるということは、大変なショックでした。大好きなチョコレートも喉を通らなくなってしまいましたが、そのことによってガーナの状況が変わるわけではなく、自分の無力さを感じていました。

そこから常にガーナのことが頭にはありましたが、中学生・高校生の自分にとっては遠い話でした。ただ、大学生になって、自分のこれからの人生を考えたとき、大好きなチョコレートとそれに苦しめられるガーナの人々のことが頭から離れませんでした。そうは言っても、ガーナについて知っていることは本の上の知識だけ。実際にどのような状況なのかみてみたいと思い、ガーナに向かいました。

 

現地で芽生えた「チョコレート産業を立ち上げたい」という想い

ガーナでは、真っ先にカカオを栽培している村を訪れました。そして、「チョコレートが好きだから来た」と伝えます。でも、現地の人々の多くは、チョコレートを食べたことがありませんでした。カカオが栽培されているにも関わらず、チョコレートを食べたことがないことに驚きました。そこで、現地でありものの材料でチョコレートを作って食べてもらうと、とても喜んでくれました。

ガーナへの訪問は、中学生の時に知ったような、貧困に苦しむ人々を目にするかもしれない、という覚悟を持ってのものでした。でも、実際に現地で感じたのは、想像していたものとは異なる、ポジティブなエネルギーでした。ガーナの方は、目の前の一瞬一瞬の出来事に対する感度が高く、常に幸せな雰囲気に包まれています。そんなガーナの人たちから、学ぶことのほうが多かったです。



ガーナへの最初の訪問では2か月間滞在しました。帰国の際に感じたのは、このまま帰国してしまうことへのモヤモヤでした。ガーナの人がどれだけポジティブだとはいえ、カカオ豆の取引価格が低く、カカオ農家の生活が苦しいことは事実です。それが原因で、マラリア薬を買えず、命を落としてしまうこともあります。その状況を目の当たりにしながらも何もせずに帰国することは、結局は自分の無力を感じていた中学生の頃と同じように思えました。

そこで、この訪問を思い出で終わらせないために何ができるかを考えた時、「ガーナでチョコレート産業を立ち上げたい」という気持ちが芽生えました。ガーナでチョコレート産業が生まれれば、カカオ栽培に加え、チョコレートの加工・販売という仕事が生まれることになります。そうすれば、カカオ農家の生活もよりよくなるのではと考えました。そして、チョコレートを食べるガーナの人々の幸せそうな顔を思い出すと、それは私がやらなければならないことのように思えました。

帰国後、その想いを現実に移すためにチョコレート工場建設を目的としたクラウドファンディングを実施しました。結果、多くの方にご支援いただいてガーナでチョコレート工場を建設することができ、チョコレート産業立ち上げに向けて、動き出すことができています。 

 

 

ガーナの活動支援のブランドとしてではなく、チョコレートブランドとしても愛されるように

実は、MAAHA CHOCOLATEが誕生したのはその後のことです。クラウドファンディングをきっかけに西武百貨店からご連絡をいただき、バレンタインデーの催事に出店させていただくことになりました。そこで立ち上げたのが、MAAHA CHOCOLATEです。

「MAAHA」は、ガーナの現地語・チュイ語で「こんにちは」を意味します。私がガーナで感じたポジティブなエネルギーをお客さまにも伝えたいという想いで、カカオ農家が陽気に呼びかけているような「MAAHA」をブランド名としました。

MAAHA CHOCOLATEは、ガーナでの出来事がきっかけに立ち上がったブランドです。ただ、ガーナを支援するためのブランドではありません。品質に目を瞑って支援をしていては、ガーナでチョコレート産業を立ち上げることは難しいです。高品質なカカオ豆を栽培し、そのカカオ豆からお客さまに喜んでいただける商品をつくり、いただいた対価をチョコレート産業に投資していく、というサイクルが回りはじめて初めて、チョコレート産業を立ち上げることができたといえます。

そのためには、ガーナでの活動の応援として MAAHA CHOCOLATEを購入していただくだけでなく、チョコレートブランド MAAHA CHOCOLATEとしてお客さまに愛されるブランドにならなければなりません。私にとってのチョコレートがそうであったように、皆さまの大切な瞬間にそばにあるようなブランドになりたいと考えています。

そして、"境界線を溶かすチョコレート"というブランドメッセージには、ガーナでの活動に対する想いや、ブランドに対する想いが込められています。カカオ豆をめぐるお金のめぐりが分断されている現状を是正してチョコレート産業をつくりあげたいという想い、私の幼いころに当たり前だったように生産者と消費者の間をつなぎたいという想い、そして、お客さまの人生の大切な瞬間に、大切な人に想いを馳せるきっかけになりたいという想いを"境界線を溶かす"という言葉に込めています。 

 

 

遠くない将来、Made in Ghana 100%のチョコレートを届けたい

今年、再度クラウドファンディングを実施して多くのご支援をいただき、ガーナ工場の規模拡大に向けたインフラ整備に着手することができました。また、日本においても、今回発表したリブランディングをはじめ、より成長にアクセルを踏むべく、取り組みを進めています。

どの活動も、19歳のころに抱いた、「ガーナにチョコレート産業を作る」という夢につながっています。ガーナでの活動も、日本での活動も、思うようにいかないことも多いですが、着々とその夢に向けて前進することができています。遠くない将来、その夢を実現し、皆さまにも Made in Ghana 100% のチョコレートをお届けしたいと思っていますので、引き続き MAAHA CHOCOLATEをご愛顧いただけますと嬉しいです。

 

プロフィール

1998年、岡山県生まれ。幼少期よりチョコレートに惹かれ、19歳でガーナへ渡航。現地の魅力と課題に気付かされる。その後、チョコレートが一般的でないガーナで、その味と作り方を伝える活動を始め、現地でのチョコレート工場建設も進めてきた。
2020年にはMpraeso合同会社(現:MAAHA株式会社)を設立し、2021年にはガーナのカカオ豆を使ったチョコレート菓子ブランド、MAAHA CHOCOLATEを立ち上げる。これまでECや百貨店(西武・高島屋・伊勢丹・三越・マルイ等)での販売を行っており、高級ブランドのノベルティやJALファーストクラスデザートとしての採用実績も持つ。
ガーナでの活動は、数多くのメディアでも取り上げられており、2021年にはNewsweekの「世界に貢献する日本人30」を、2022年には日経WOMANの「ウーマンオブザイヤー2022」を受賞。関連する映画への出演や書籍の出版等も行っている。

(文責:田口 愛)